あれやこれや

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図書館、返却本トラックの楽しみ

返却された本や書架から利用者が取り出した本は図書館員さんの手によって再び所定の位置に戻されるわけですが、それまで仮置きされる場所はトラックと呼ばれる可動棚です。よく利用者の目につくところに置かれていますが、私は館内に入るとまずそこをざーっと見ることにしています。

f:id:wanwanmeili:20230511222740j:image(株式会社伊藤伊さんのHPより)

発売されたばかりの本とか話題になっている人気のものはネットでの予約が途切れないためか、トラックの上で見かけることはあまり無い気がしますが、そこに置かれている本って、いったん本好きの誰かにそれなりの訳あって選ばれたものなので結構侮れないんです。私にとっては一種、本の地味な紹介コーナー的なものです。

実際、何度かそこから適当にピックアップして借りたこともありますが、「ちっ、読んで損したわ」みたいなものはあんまりなかった気がします。むしろ自分で選んだ本でそういうことがあるくらいです。

面白半分に普段は絶対手にしない剣豪小説をそこから持ち帰って読んで号泣。定年後のおじさんが借りるやつ(決めつけ)もなかなかいいもんだなあと開眼させてもらったのも返却本トラックのおかげです。

実用書、例えば「庭づくり」「池の掘り方」「ビオトープの始め方」なんて関連のある古い数冊がまとめて置いてあれば同一人物が返却した可能性ありですが、その背表紙を見ながら「池、自分で掘るんかーい」「まずはメダカと水草かな」なんて知らない人の庭づくりに空想の翼を拡げるなんてこともあります。

そこに子どものための手作りおもちゃの本が何冊かまとまっていれば親御さんの思いが伝わってくる気がしますし、ある病気に関しての本があれば治療法を模索している人の心中を少し考えたりもします。

今どきわざわざ図書館まで足を運んだ人が多くの選択肢の中から選んだ本、それら特選本(?)が並ぶのが返却本トラックなのです。

実体のある紙の本を、知らない誰かと分け合っている気がするコーナーの楽しみ方。やってる人は普通にやってるのかな。