竹輪の友
「ちくわ」。
改めてこうして書いてみたり、声に出してみたりするとかわいい。
そんなことはどうでもいいのですが、
この数年、ちくわは私のオイルフリーの食生活を応援してくれる力強いバディでした。
でも、これまでのように親しい存在ではなくなるのかも、という話です。
そもそもこの「ちくわ」、今の食生活に入るに際にドクターから勧められた食材でした。脂質がなくてタンパク質が多い。
最初は「なぜちくわ?」と心の中で笑っていました。「かまぼこじゃダメなんですか」と。
ところが、つき合っていく日々の中で、ああ、なるほど、と実感。ちくわの世界の奥深さに気づいたのでした。
腹減ったな〜と冷蔵庫を覗いた時、目に入るものがかまぼこしかなかったら、なんもない、と諦めそうなところ、それがちくわであった場合、優雅にハンディな1本を取り上げ、次の食事までのひとときをやり過ごすことができる、ちくわにはそんなカジュアルさがあるんです。
・・・ま、そんなことどうでもいいかもしれませんが、
ちくわには焼き目がある。これがまたすぐれたポイントだと思うんです。
ちくわの表面の虎紋のコゲコゲが口中に食感や風味のメリハリをもたらし単調になりにくいんです。焼き目のデコボコにも衣や煮汁が絡みやすいため、揚げ物や煮物としても展開しやすい素材なのだと思います。
・・・ま、そんなこともどうでもいいかもしれませんが、
さらに、ちくわのすごいところは、中に空洞があるってことです。
竹の筒に魚のすり身を絡ませグルグル炙ってみた先人は、まさか後世の人が、竹を抜き去ったあとに様々なものを詰め込んで楽しむなんてことは想定してなかったことでしょう。
こんな私もきゅうり、セロリ、人参、パプリカ、ネギ、といろんなものを突っ込み、風味だけでなく目でもサラダ感覚を楽しんできました。
ちくわ、
ポテンシャル、ハンパないやつ。
好きでも嫌いでもなかったちくわが、気づくと単調になりがちな私の脱脂生活に寄り添ってくれている大事な存在となっていたわけです。
けれど、こんなちくわと私の蜜月もこれまでか、ついに厳しい現実に見舞われることとなってしまいました。
一昨日、スーパーでいつものお気に入りのやつを求めようとしたところ、
あれ?
(目ゴシゴシ・・・)
・・・従来の3割弱高いお値段がついてます。
練りもの圏の他の商品が自らのサイズを縮めることで価格を死守する中、私のお気に入りである無添加、減塩のちくわは堂々と値上げの道を選びとっておるのです。
き、きついなあ・・・、
もう今までみたいに毎日気軽に会えないかもしれないよ。
とはいえ、
何もかも値上がりして大変な中、このメーカーさんだって今まで踏ん張って供給してくれたのだろう。
わかった。
今日は帰るけど、また必要な時は会いに来るからよろしく。
今までがんばってくれてありがとう、
ちくわの友よ。
これから生活はこんな感じでジワジワと締め付けられていく一方なのでしょうか、
きっとそうなんでしょうね。
ない知恵を絞って工夫を重ねるしかありません。
(涙目)